私は、ある日、突然、医師から膀胱癌の疑いがあると告知されました。以下の文章は、私が、膀胱癌とはどういうものであるのかを文献や大学のホームページから学び、医師が薦める治療方針に潜む危険を回避し、患者体験談から多くの教訓を得ながら、膀胱癌手術を終えるまでに得た知識や体験を纏めたものです。
1.医師から「膀胱癌の恐れがある」と言われて感じた衝撃
二人に一人が癌に罹病する時代です。
それでも、医師から膀胱癌の恐れがあると告げられた時、私は頭の中が真っ白になりました。その後、眠れない夜が何日も続き、事実を冷静に受け止められるようになるまで2週間かかりました。表面的には淡々としていたようですが、心の中は大揺れでした。
尿潜血で自分が膀胱癌にかかっていることを知る人の割合は7~8割に達するそうです。便器に流れる血尿で知る人もいれば、人間ドックの尿潜血検査で知る人もいるようです。
だが、尿潜血がない患者もおります。私は微かな痛みを感じて受診したクリニックのエコー検査で膀胱癌を見つけましたが、30年続けた人間ドックの尿潜血検査やエコー検査では発見できませんでした。
人間ドックは有益ですが、全てを人間ドックに任せるべきではないと思います。やはり、身体の異変は自分で注意して見つけ出すことが大切であると思いました。
2.医師から「膀胱癌の恐れがある」と言われて勉強したこと
私は、癌の恐れがあると告知されてから、インターネットを通じて、膀胱癌、治療法、患者体験談などを通じて、多くのことを学びました。特に、数多くの体験談を読み、自分なら、どのように治療をして、どのように覚悟を決めるべきかを突き詰めて考えました。
その結果として得たのが、以下の三つの黄金律(ゴールデン・ルール)です。私はこの三つの黄金律が癌患者の生死を分けると考えております。
(1)早期発見、早期治療
1番目の黄金律(ゴールデン・ルール)が「早期発見、早期治療」です。これに勝る黄金律はないと思います。
癌を早く発見できれば治療は容易です。しかし、発見が遅れて転移状態になれば、完治は難しく、残された治療手段もかなり限定的になります。
そして、「早期発見、早期治療」を実現するためには、以下の二つが重要だと考えます。
①人間ドック
人間ドックを定期的に受診するとともに、腫瘍マーカーの検査メニューが提示されている場合には、積極的に活用すべきだと思います。
私は、前段で、「人間ドックに全てを委ねるべきではない」と述べましたが、人間ドックが早期発見の鍵であることは言うまでもありません。誤解がないように申し添えます。
②自分(家族)の身体の変調に敏感になる。
日常生活をする上で、自分と家族の変調に敏感になることが大切であると思います。
タレントの堀ちえみさんは、前年の7月に舌に潰瘍ができたことに気がついてものの、口内炎だと思い軽く受け止めていました。しかし、堀さんは、その7ケ月後に、ステージ4の舌癌だと公表しました。
身体の異変が1~2週間続く場合、医者に行くべきです。また、出血したら、急いで、医者に行く必要があります。
(2)信頼できる情報
①インターネット癌情報の質
ある機関が、「肺がん」をキーワードにして、インターネット情報の質について調査したところ、アメリカでは8割が正しい情報であったのに、日本では正しいと判断されたのは半分以下だったそうです。
特に、ネット広告に関連した情報は注意する必要があると思います。過度に信じ込まず、参考情報として、時間をかけて評価していけばよいのではないでしょうか。
②信頼できる基本情報
国立がん研究センターの癌対策情報センターや各大学などが発信している癌に関する情報は信頼できます。
私自身が、治療方針を作成する際、最も信頼した基本情報は、日本泌尿器科学会が作成した「膀胱癌診療ガイドライン」です。
これをベースに据えて、優れた医学論文を数多く読み加えていき、自分自身の判断体系を築いていきました。
③医者が奨める治療であっても、自分の頭で納得するまで吟味すべき。
一般論で言えば、医師の提案する治療は、通常は、医学的に正しいと思います。しかし、常に正しいかと聞かれれば、そうではないだろうと思います。
私が今回掛かった泌尿器科開業医は、膀胱癌の恐れ、前立腺癌の恐れ、前立腺肥大症(重症)と診断して、膀胱癌切除、前立腺肥大手術、前立腺癌生検を一度の手術ですることを薦めてきました。
理由を聞くと「痛い手術は一回で済ませた方がよいから」と説明してくれました。そして、私がその泌尿器科医が推薦する病院に行き、執刀医師(日本泌尿器科学会の専門医・指導医)にその話をしたところ、「なるほど。では、同時に手術しましょう」と快諾して下さり、その日の内に手術日を決めました。
その後、私は1週間かけ、約30本の医学論文を「膀胱癌診療ガイドライン」と関係づけて読むことで、同時手術に潜む危険性を見出しました。同時手術をした場合、膀胱癌切除手術の際に拡散した癌細胞が前立腺肥大手術の際にできた傷口から体内に転移するリスクがあるのです。
医師の言葉を無条件に信じることは極めて危険だと思います。
また、学会の専門医や指導医の資格を有する医師が、常に、正しい診療をするわけではないと思います。
医師の奨める治療法に少しでも疑問を抱いたなら、セカンド・オピニオンを求めることも考えるべきです。自分の命は自分で守らなければなりません。自分(家族)の命を守るのは自分であると言う意識を強く持つことが不可欠です。
元プロボクサーの竹原慎二氏は、膀胱癌であったにもかかわらず、信頼していた医師から膀胱炎と誤診され続けました。その誤診期間は1年間に及び、その間、癌は竹原氏の身体を蝕み続けました。自分の経験を踏まえて言えば、これは誰にでも起こりうる話だと思います。
(3)適切な治療法の選択とタイミングの良い決断
医師の間でも治療法の選択と決断のタイミングは千差万別のようです。T1(G3)で膀胱全摘を判断する医師もいれば、2nd TUR-BtとBCGで対処しようと判断する医師もおります。T1(G2)で抑制的な治療を続けた結果、打つ手が遅れて膀胱全摘となった患者もおります。
特に重要なのが、膀胱全摘か、温存療法に頼るのかを決断するタイミングだと思います。
患者の方で膀胱温存に拘り過ぎて癌が転移して、抗癌剤と放射線治療を続けるしかできなくなって、力尽きた方もおられます。癌そのものが突然変異で生まれた千差万別の組織であり、同じG2であっても単純にひとくくりにできるものではないようです。
逆に、G3でも温存療法で予後が良好な方もおられます。運としかいいようがありません。
ただ、幸運を招くためには、適切な治療法の選択、良い医師とのめぐり逢い、タイミングの良い決断の三つが大切だと思います。
私は、130件を超える膀胱癌体験者談を読み、それらの体験談を自分の身に置き換えて、どのタイミングでどの治療法を選択すべきであったのかを繰り返しシミュレートすることで、頭の中に判断体系を構築していきました。
運に左右されることも大きいために効果は分りませんが、何も準備しないよりはましだろうと考えております。
3.目次について
この画面の左欄は目次となっております。上段は「膀胱癌治療の経緯」です。順番にお読みになる方は、目次のクリック、あるいは、本欄の下段の「次ページ」をクリックして読み進めて下さい。
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